
政府に提供されている限りある資源)を有効に配分するうえで非常に有用だと思います。 3つ目の質問ですが、先生は4ぺージ目に「ネパールの都市化のレベルは周辺の南アジアの国々と比べて非常に低いが、それでも都市の人口は増加している。」と述べられましたが、これに関してももう少し詳しい、性別を含むデータをお教えください。 出生率もここからわかるのではないかと思います。先生はお話の中で、現在のカトマンズの人口比率から見てみるとカトマンズ人口のネパール総人口に占める比率は低いため、他のアジアの国々と比べて今後もカトマンズに産業が集中することがないと述べられました。 私も先週カトマンズにおりましたが、カトマンズの都市の公害が非常に悪化していることを経験しました。従いまして、先生が提案されましたように、ネパール国の都市化対策を策定する場合、産業をカトマンズ集中で伸ばしていかずに、カトマンズへの産業集中は必要最小限に抑えて、この3つの地域で平均的に産業を発展させていくことが重要であると思います。この点について、もう少しコメントをいただきたいと思います。 黒田俊夫 非常に興味深く、同時に非常に難しいご質問です。 最後の質問からお答えしていきたいと思います。カトマンズに対するご質問ですが、環境汚染が深刻だと述べられました。もちろん、ネパール政府もこの環境の汚染防止政策をとり、なんらかの形で環境の汚染を緩和していこうという政策をとっています。ただ、政府はカトマンズの開発を余り偏重して行うべきではないと思います。もちろんある程度の開発は必要不可欠だと思いますが、その他の地域、たとえば、タライ低地を積極的に開発していくべきだと思います。 また人々を移動させる人口のプル要因というものが重要となりますが、ネパールでもっとも肥沃な土地があるのはタライ低地です。山岳地域、丘陵地域では肥沃な土地は余りなく、統計的に見ますとタライに肥沃な土地の6割・7割が集中しています。つまり雇用の機会、耕地可能な土地が山岳地帯にはなく、このタライ低地地域にもっと力を入れていくべきではないかと思います。産業・人口のカトマンズ集中を阻止しうるのが、タライの地域ではないかと思っております。 カトマンズのような大都市への集中は良くないとわかっているのですが、実際にはこれが各国で往々にして起きています。カトマンズに関しても一極集中を防ぐための政策をネパールの政府がとっています。しかし、同時にタライの開発を行うことでタライの魅力を増加させることも必要であると思います。実際にタライヘのネパール政府の投資も行われています。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|